何で医療保険による鍼灸マッサージは知られてないのか?
私が「鍼灸マッサージで保険が使える」と知ったのは専門学生の時でした。
ある先生が逮捕されて代わりに来た先生が臨時授業で「鍼灸マッサージでの保険」について教えてくれた時に初めて知ったのです。
有資格者である私だってつい数年前に知った訳で一般の方が「鍼灸マッサージで保険が使える」なんて知らないのも無理ありません。
これって損だと思います。何故ならば鍼灸マッサージを治療として利用する場合は保険を使って施術を受けた方が圧倒的にお得だからです。
当たり前ですが医療保険を使えば自己負担額は1割負担の方で約500円、3割負担の方でも約1500円、障がい者手帳、医療助成証をお持ちの方なら0円だからです。(一般的に自由診療だと一回5000円〜8000円程度)
なので保険を使って鍼灸マッサージすれば継続的に施術を受ける事が可能となります。
しかしながら現状は
と、ほとんどの方が知らないのです。
病院や歯科医院では当たり前に使っている医療保険を何故に「鍼灸マッサージで使われていないのか?知られてないのか?」を私になりに考えてみました。(多分間違ってると思うけど…)
保険を扱える鍼灸マッサージ師が少ない
何故知られていないのか?
結論から申し上げますと
保険を扱える鍼灸マッサージ師が少ないからだと思うんです。
「保険を扱える鍼灸マッサージ師が少ない」
↓↓
「保険診療の内容が詳しく分からない」
↓↓
「鍼灸マッサージ師が勧めない」
↓↓
「一般の人に知られない」
日本には
- マッサージ師が約13万人
- はり師が約11万人
- きゅう師が約11万人
おります。
ただ、この中で自分で保険申請が出来る施術者って半分も居ないんですよ。いや半分どころか体感だと2割もいないんじゃないかな。って思います。
同期の鍼灸マッサージ師で保険が扱えるのは私が知ってる限り3〜4人しかおりません。(同期の人数は約70人)
保険が使える会社に勤めている方は多くいらっしゃるかと思うのですが自分でやっている人は少ないんです。
何故、こんなにも少ないかと言うと多分面倒だからだと思うんです。
何故面倒かというと鍼灸マッサージの保険診療は他と比べるとやや特殊だからです。
私が特殊だと思う事を3つ挙げますね。
①鍼灸マッサージ師の独断では出来ない
まず保険診療は鍼灸マッサージ師の独断では出来ません。
例えば病院や歯医者さんなどは美容やインプラント、健康診断等でなければその場で保険が使えます。ただ鍼灸マッサージの場合は少し違います。医師の同意書というのが必要となるんです。独断で保険診療をする事は出来ないんですね。だから始めるまでにも時間がかかってしまうし、時には医師の許可が貰えずに出来ないと言う事だってあります。
とか、思われそうすが
鍼灸マッサージに理解がある医師ならば同意してくれる場合が多いのですが、そうでない場合は頂けません。
書いて頂けても1か月くらい時間がかかる場合もあります。
②社会保険は殆どが償還払い
さらに社会保険の場合はほぼ償還払いです。
これは最初に利用者さんが全額を支払い後からほけん金額分が返ってくるシステムなんです。
病院などで保険証を忘れて一旦全部自己負担して後で保険申請をして返してもらった経験ありませんか?
あれをイメージしてもらうとわかりやすいです。
鍼灸マッサージの場合、社会保険は現在ほぼこのシステムです。利用者さんと一緒にレセプトを作成して申請しなくてはいけないのです。
何か間違いがある場合に返戻は利用者様のところに行くし、医療助成証を持っている方の場合は別途自己負担分を市役所に申請しなくてはいけません。
国民健康保険と全国健康保険協会は今のところは受領委任制度ではありますが
令和3年からは受領委任を取り扱う場合には「施術管理者」の申出の際に「1.実務経験」及び「2.研修の受講」が要件となりました。
今までは開業届けだけ提出だけで良かったのですがそうもいかなくなったのです。
③リスクもある
あと希にですが申請が通らないという場合もあります。
どういう事かと言うと、「施術をして申請したけどお金が貰えない」って事です。
とツッコミがきそうですが…
あります!!
私の体験だと医師はマッサージを認めてくれたけど傷病名とマッサージが結びつかないという事で却下された事があります。
あとは鍼灸で他の医療機関で治療してるから認められない。
などなど、数回ございます。
取っ払いの方が確実
以上の事から鍼灸マッサージ師目線だと、保険診療するよりも自由診療でその日にやってその日に貰った方が楽だし確実なんですよね。
自由診療は施術するのだけに対して
保険診療は
- 問診&体験
- 医師に同意書を依頼
- 施術
- レセプト作成&申請
- 2ヶ月〜6ヶ月後に振込
さらに
- 医師の同意書がもらえるか分からない。
- レセプトが通るか分からない。
というリスクもあり
お金が入るのも早くて2ヶ月後
返戻が続けば一年後なんて事もあります。
面倒だしリスクもある。
それならば自由診療でいいか。って言う鍼灸マッサージ師が多いのではないかと思うんです。
だから、わざわざ保険診療はしない。という施術者が多いという訳です。
利用者側は保険診療を使った方が良い
面倒なのは施術側だけなので、利用者側は保険を使った方が良いです。金額が全く違うので。同意書は本人様しか頂けない場合もあるので、その点だけは面倒に感じるかもしれませんが後は全部施術者側がやってくれるはずです。
なので身体が不自由な方で鍼灸マッサージを受けたいという方(藤沢市などの湘南地域)は是非ご相談して下さい。
因みにですが…
面倒、面倒など書き続けてきましたが
施術側にメリットはあります。
医療保険による施術費は消費税や事業税の対象にはならないし、継続して頂ける良さがあります。
面倒なのは反対ではありません
因みに私は保険診療が面倒な事には反対ではありません。
「医者の同意書をなくせ!」
「償還払いもなくせよ。」
とか一切思ってません。
何故ならば不正受給等を減らす事が出来るからです。
医師の同意書はどうか分かりませんが
償還払いのシステムや受領委任を取り扱う場合には「施術管理者」の申出の際に「1.実務経験」及び「2.研修の受講」が要件が導入されたのって不正受給を防止する為だと思うんですね。
昨年持続化給付金等でも詐欺が多発していましたが、簡単に申請出来てしまうとそれだけ不正をしてしまう人が増えると思うんです。
それを抑止する為にも今の制度くらいが丁度良いと思うんです。